川島 清 新作版画展 “DOUBLE”
Kiyoshi KAWASHIMA new prints 2007 “DOUBLE”
2007年10月9日(火)-10月27日(土)


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 川島清は1951年生まれ。’83年に東京芸術大学大学院美術研究科後期博士課程を満期退学し、1986-’88年にはAsian Cultural Council の助成を受けて渡米。P.S.1プロジェクト(ニューヨーク)に参加しました。’93年にはいわき市立美術館での個展、その後「90年代の日本-13人のアーティストたちの提言」(ローマ市立フォロクローレ美術館、デュッセルドルフ美術館)、「ART-TODAY 2000-3つの回顧から」(セゾン現代美術館)などに出品。近年は毎年、彫刻の新作を発表しています。昨年秋には、いわき市立美術館での「彫刻なるもの-川島清、土谷武、若林奮の作品から」、今年は熊本市現代美術館での「ATTITUDE 2007 人間の家 真に歓喜に値するもの」に出品するなど、日本を代表する彫刻家の一人として活動しています。 

川島の彫刻は、鉄、鉛、木、銅、ワックス、ガラス、石膏など多岐にわたる素材で、それらが縦横に積み上げられ、構築されて、複雑な時間と記憶が重層されてきました。2000年以降は、それらを経たなか「水量」シリーズに見られるように、より身体性を供なった凝縮力を開示するに至っています。「空間」と「時間」を鋭く感じさせる独自の世界と、質の可能性を探究し、物質との対峙、「見る」ことでの思考など、川島は彫刻の可能性について問い続けます。

DOUBLE 扁桃木 Ⅰ
ドライポイント、アルシュ紙 ed.10
2007年
33x25cm(イメージサイズ)
56.5x44.5cm(シートサイズ)

DOUBLE 蚕作戦 Ⅰ
ドライポイント、アルシュ紙 ed.10
2007年
33x25cm(イメージサイズ)
56.5x44.5cm(シートサイズ)

今回は銅版画の新作展です。川島は、3年ほど前から銅版画の制作に取り組み、初めて発表した銅版画は1版を刷り上げた後、さらに手を加え第2、第3ステートと連続して制作する方法をとりました。川島は彫刻作品の中で幾度となく銅を使い、その素材は身近なものでした。版画を目的とした銅板について、版の素材としての銅ではなく、銅そのものに内包する質性を探り、その過程が強く意識された制作のなか、くり返す空白の時間となって外に現われる、そのことに少なくとも関心があると言います。今回、新作展のタイトルは
”DOUBLE”。川島は自身のなかで、規則や秩序が様式によって閉じこめる装置が反転して複数になる方法を開くことが、銅板を通して自分のアイデンティティを解体していくような動きにつながるのではないかとの考えが要因になっています。
本展では、エッチング、ドライポイント、またそれらを併用した銅版画約20点で構成されます。銅版画という、彫刻と異なる表現に現われた新しいかたちを含めて、着実に進化し続ける川島清の新作を是非ご高覧ください。また、今回初めて、鉄の鋳造による彫刻作品を展示致します。

尚、現在、次の展覧会で川島清の作品がご覧いただけます。

「ATTITUDE 2007 人間の家 真に歓喜に値するの」
会場:熊本市現代美術館 会期:-10月14日まで詳しくは http://www.camk.or.jp/event/exhibition/attitude2007/index.html

関連リンク: 2007年5月  2006年10月  2006年7月  2005年11月  2005年3月  2004年8月  2004年3月  2003年4月

 参考作品 「水量-胴体容」

■展覧会概要
展覧会名 川島清 新作版画展 “DOUBLE”  
Kiyoshi KAWASHIMA new prints 2007 “DOUBLE”
会期 日時 2007/10/9(火) - 10/27(土) *日曜、祝日休廊 10:30-18:30
会場 ギャルリー東京ユマニテ
〒104-0031 東京都中央区京橋2-8-18 昭和ビルB1F
※地下鉄銀座線京橋駅6番出口から徒歩1分
問合せ先 ギャルリー東京ユマニテ   tel. 03-3562-1305 fax. 03-3562-1306
(e-mail) humanite@js8.so-net.ne.jp
●川島清 略歴
1951 福島県生まれ
1983 東京芸術大学大学院美術研究科後期博士課程満期退学
1986-88 Asian Cultural Council の助成を受けて渡米 
1987 P.S.1プロジェクト(ニューヨーク)
1992, ’01 (フジテレビギャラリー/東京)
1993 「川島清 内層の視点- Observation」 (いわき市立美術館)
  「90年の日本-13人のアーティストたちの提言」(ローマ市立フォロクローレ美術館/イタリア、デュッセルドルフ美術館/ ドイツ)
  「富山国際現代美術展」富山県立近代美術館
2000 「ART-TODAY 2000-3つの回顧から」(セゾン現代美術館/長野)  「水量-胴体容」 2006-2007年
2003 「川島清展 熔水-納屋をとほして」 (ギャルリー東京ユマニテ) 
2004 「川島清展 Observation-蝕・水量」 (ギャルリー東京ユマニテ)
2005 「川島清新作素描・」版画展 雨ふりだき」 (ギャルリー東京ユマニテ)
  「川島清展 水量」 (ギャルリー東京ユマニテ)
2006 「川島清新作版画展 変化口」 (ギャルリー東京ユマニテ) 
  「川島清展 水量Ⅱ」 (ギャルリー東京ユマニテ) 
  「彫刻なるもの-川島清、土谷武、若林奮の作品から」 (いわき市立美術館/福島)
2007 「川島清展 水量Ⅲ」 (ギャルリー東京ユマニテ)
  「ATTITUDE 2007 人間の家 真に歓喜に値するもの」 (熊本市現代美術館)
  「川島清展 新作版画 DOUBLE」 (ギャルリー東京ユマニテ)
● 主な参考文献 (2003年以降の展覧会資料より)
2003 谷新「川島清-川島彫刻の発話にかかわる時間意識」(レヴュー『モダニズムの至宝のとき いわき市立美術館名品展』 アーティスト・トーク)
  川島清 谷新 対談「アーティストトーク①」 『モダニズムの至宝のとき いわき市立美術館名品展関連イヴェント記録集』 宇都宮美術館(栃木) 
  木下長宏 「川島清-水の否定形」 『川島清展「熔水-納屋をとほして』 カタログ ギャルリー東京ユマニテ 
2004 川島清 保坂和志 「対話 川島清 保坂和志」 『川島清展Observation・蝕・水量』カタログ ギャルリー東京ユマニテ
2005 高島直之 「水の曖昧さと対象とのつながりについて-川島清の版画作品をめぐって」 『川島清「新作素描・版画展』 カタログ ギャルリー東京ユマニテ
2006 前田英樹 「川島清の三つの彫刻」 『川島清展 水量 水量Ⅱ』 カタログ ギャルリー東京ユマニテ
  小泉晋弥 「「彫刻なるもの」-世界の人間の仲介者」 『彫刻なるもの-川島清・土谷武・若林奮の作品から』 カタログ いわき市立美術館
  平野明彦 「彫刻-川島清・土谷武・若林奮の作品について」 『彫刻なるもの-川島清・土谷武・若林奮の作品から』 カタログ いわき市立美術館