加納光於(かのう・みつお)は1933年東京生まれ。独学で銅版画を学び、1950年代半ばから作品を発表。1960年代にはリュブリアナ国際版画ビエンナーレ(ユーゴスラビア)、東京国際版画ビエンナーレなど数々の国際展で評価を高め、日本を代表する作家の一人となりました。その後1980年代からは色彩豊かな油彩作品を発表。国内外の美術館で展覧会を行い、2000年には愛知県美術館で個展を開催。2005年には再度、リュブリアナ国際版画ビエンナーレの日本代表として出品。近年はほぼ隔年ごとに新作を発表し精力的に活動を続けています。さらに、2013年には神奈川県立近代美術館 鎌倉において13年ぶりとなる公立美術館での個展を開催。この展覧会は1950年代初期銅版画から、国際展などで受賞したモノクロームの代表作、色彩豊かな油彩大作、オブジェと半世紀以上にわたる加納作品を一堂に展覧する機会となりました。
本展は、ギャルリー東京ユマニテにて2年ぶりの個展となり、2013年の鎌倉での大規模な個展以降に制作された新作を発表します。
加納の初期からの仕事を振り返ると銅版画家のイメージが強いかもしれません。しかしながら、1980年代以降は版画の作品と併せて、色彩の洪水とも評される色鮮やかな油彩を発表してきました。さらに近年は油彩の発表が続き、ここ数年は自身の手や自宅庭の樹木の葉のシルエットを用い、柔らかい色彩のイメージへ変化してきました。
今回の新作は、以前のようなシルエットは姿を消し、色彩のトーンは抑えながらもインパクトあるラインが画面を横切り、さらに生命体のような帯状の波が画面に深みを与えています。これらの作品は昨年秋に青梅市立美術館で開催された「アートプログラム青梅2014」に出品した作品に追加されたものです。
常に更なる進化を見せる加納ですが、「色身(ルゥーパ)」を見つめるその作品世界は時間を経てもなお、観る者に新たな気づきを与えてくれます。この機会をお見逃しなく是非ご高覧下さい。
>> 加納光於 略歴
<以前の展覧会>
加納光於 《よせる波も、かいの色も》
KANO mitsuo oil on canvas
2013.10.7(月)‐11.2(土)
加納光於 《地平の蜜蜂》
KANO mitsuo persimmon tannin, water color on paper 2011
2011.12.1(木)‐12.21(水)
加納光於 《鳥影-遮るものの変容》
KANO mitsuo oil on canvas / oil on paper 2009-2010
2010.12.6(月)‐12.25(土)
加納光於 《身振りのアルファベット、あるいは跳ね馬のように》
KANO mitsuo oil on canvas / oil on canvas board 2007-2009
2009.3.9(月)‐3.28(土)
加納光於 《止まれ、フィボナッチの兎》
KANO mitsuo oil and water color on paper
2007.9.10(月)‐9.29(土)
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