恩地は1891年東京生まれ。昨年生誕120周年を迎えました。日本の抽象絵画、創作版画のパイオニアとして活躍し、1914年、詩と版画の雑誌『月映』を創刊。詩人、作家との交流から装幀の仕事も多く手掛けました。
恩地は木版による創作版画が代表的な作品として評価されていますが、実は岸田劉生、萬鉄五郎、東郷青児らと同じく二科展に出品し、大正期には油絵画家としても注目されていました。また、1994年に開催された「恩地孝四郎
色と形の詩人展」(横浜美術館、宮城県美術館、和歌山県立近代美術館へ巡回)において、版画だけではなく、油絵、装幀、写真、オブジェなども出品され、恩地がさまざまな領域での芸術活動を行っていたことが紹介されました。
昨年は、恩地の装幀の仕事をまとめた「恩地孝四郎
装本の業」(1982)の新装普及本が刊行され、他にも「恩地孝四郎-一つの伝記」池内紀著(2012 幻戯書房)、今秋には恩地孝四郎研究者としても知られる桑原規子氏による研究書の刊行も予定され、恩地孝四郎の多面的な芸術家としての再評価が進んでいます。
本展覧会は、恩地のご遺族から油彩作品を中心に、未発表の水彩などを含め約15点、展示販売させていただく大変貴重な機会です。今なお、瑞々しい魅力にあふれる恩地孝四郎の油彩画をお見逃しなく、是非ご高覧頂けますようご案内申し上げます。
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恩地孝四郎プロフィール