額田宣彦(ぬかた・のぶひこ)は1963年大阪生まれ。'91年、愛知県立芸術大学大学院修了後、'99年には助成を受け、ロンドンに滞在。その年、アメリカ、ヨーロッパを巡回し日本の若手作家を紹介する大規模な展覧会"Painting for joy"(国際交流基金主催)に出品。その後も国内外の展覧会で発表を続けました。’09年には愛知県美術館で開催された「放課後の原っぱ‐櫃田伸也とその教え子たち‐」で新作を発表。そのシンプルでストイックな作品は、好評を博し、現在では常に注目を集める作家の一人として活躍しています。 額田の代表的な作品のひとつ「jungle-gym シリーズ」は均一に塗られた下地パネルの上に、単色の線画を行なった作品で、一見にはCG のようですが、実際にはマスキングテープなどを一切使わず、フリーハンドで延々と画面にグリットの形を積み上げていきます。近年は、エッグテンペラと油絵具で、麻布の布目に沿って描かれる究極の技法にまで到り、さらに前回個展では、真っ白な画面の四隅に単色を乗せたもの、いわゆる作品の号数を変えた組み合わせに直線を引いたもの、地色の上にやっと見えるか見えないかの拙い一本のラインがあるもの、など作品は究極を極めました。それは、額田が追い求めてきた限りなくシステマティックに作り上げる絵画でした。 今回の新作展タイトルは「定常」。額田は、『「絵を描くことを反芻すること」が大切なことだと改めて実感している』といいます。画家として、一人の人間として、「絵画」と「日常」をつなぐ「対象」とは何かを考えた時、常に画面と対峙し描き続けること。非常に当たり前のことを真正面から実践することが、その「対象」に値するものではないか、という現時点での結論に達しました。それは、この震災に接したことが少なからず影響したのも事実かもしれません。 作品に出会った時、何かの手がかりを探そうとする観る者の思いを裏切る意図を感じさせていた額田ですが、そのストイックでシンプルな印象はどこまでも力強く、絵画という存在を超えて私たちの奥底に侵入してきます。 今回も前回に続き1年半ぶりの新作展になります。淡々と絵画と向きあい生み出された等身大の作品をじっくりと静かに堪能していただける空間が今回も用意されました。この機会に是非ご高覧下さい。
<以前の展覧会情報> 2010 額田宣彦-暗順応- NUKATA Nobuhiko -dark adaptation-
<展覧会概要> 額田宣彦
「定常」 NUKATA Nobuhiko - stationary |
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