額田宣彦 (ぬかたのぶひこ) は1963年大阪生まれ。’91年、愛知県立芸術大学大学院修了後、’99年には助成を受け、ロンドンに滞在。その年、アメリカ、ヨーロッパを巡回して日本の若手作家を紹介する大規模な展覧会“Painting
for joy”(国際交流基金主催 )に出品。そのシンプルでストイックな作品は、好評を博しました。
その後も国内外の展覧会で発表を続け、常に注目を集める作家の一人として活躍しています。
額田の代表的な作品のひとつ「jungle-gymシリーズ」は均一に塗られた下地パネルの上に、単色の線画を行なった作品で、一見CGを思わせますが、実際にはマスキングテープなどを一切使わず、フリーハンドで延々と画面にグリットの形を積み上げていきます。
近年の作品は、麻布にエッグテンペラと油絵具の混合技法によって描かれ、さらに麻布の布目に沿って描かれるようになりました。
額田の重要なコンセプトのひとつである「フリーハンドでラインを描く」、この行為について額田は「描くシステム、規則が確立すればする程、自由になれ、客観的に解釈すれば、描くことが不自由になればなる程、自由になれる」言います。
2年半前になる前回の個展では、顔料を贅沢に使用した色鮮やかなテンペラの画面が印象的でした。今回、既に描くシステムを確立し、
その呪縛から自由になった額田が発表する新作 「stringsシリーズ」は、ほとんどの作品が白を基調に描かれています。
全体の印象としては非常にシンプルで緊張感と同時に空虚感も漂いますが、それ以上に画面全体からは不思議と、より人の気配を感じさせるものとなってきました。それは、完璧に計算された絶妙な色彩の組み合わせと描くシステムという方法論を越えて、作品にさらなる深みを与えています。
額田は現在における絵画の在り方について一貫して追求し続けています。
「私達は日々さまざまな場面、物事に対し価値を与え、選択することを迫られます。それらの「価値の基準」とは何なのか。私は「価値の基準」を示す絵画ではなく「価値の基準」を計る物差しのような絵画を作りたいと考えている。」(制作ノートより抜粋)と言います。
今回は2年半ぶりの新作展になります。額田絵画の新たな展開が存分に発揮され、
期待の新作展です。この機会に是非ご高覧下さい。
額田宣彦
1963 大阪府生まれ
1988 愛知県立芸術大学美術学部油画科卒業
1990 愛知県立芸術大学大学院美術研究科修了
1999-2000 ポーラ美術振興財団の助成によりロンドン滞在
主な個展
1995, ’98 ギャルリーユマニテ(名古屋、東京)
1995 水戸芸術館現代美術センタークリテリオム(茨城)
1999 ギャルリーユマニテ(東京)
2001 オン・ギャラリー(大阪)、エキジビションスペース・東京国際フォーラム(東京)
2001, ’03, ‘06, ’08 ギャルリー東京ユマニテ(東京)
主なグループ展
1997 「多様性の舟」 東京国際フォーラム(東京)
「存在の夢」 ブタペスト市立博物館(ハンガリー)
「二人展 奈良美智・額田宣彦」 第5回NICAF 東京ビッグサイト(東京)
「絵画の方向’97」 大阪府立現代美術センター(大阪)
「めをえらぶ~変容した思考様式」 東京造形大学付属横山記念マンズー美術館(東京)
1998 「イノセント・マインズ」 愛知芸術文化センター(名古屋)
1999 「VOCA’99」 上野の森美術館(東京)
「寺田コレクション秀作展Part1」 東京オペラシティアートギャラリー(東京)
「ペインティング・フォー・ジョイ:1990年代日本の新しい絵画」 国際交流基金フォーラム(東京)以後、アメリカ、ヨーロッパ巡回
2000 「ブラック&ホワイト」 東京オペラシティアートギャラリー(東京)
2002 「現代の美術」 群馬県立近代美術館(群馬)
2005 「キュレーターの視点<点>と<網>」 埼玉県立近代美術館(埼玉)
2006 「アートとともに」 府中市美術館(東京)
「AICHI SILPAKORN」 シルパコーン大学アートセンター(タイ)
2007 「「森」としての絵画-絵の中で考える」 岡崎市立美術博物館(愛知)
2008 「現代のコンフィギュレーション」 岡崎市立美術博物館(愛知)
パブリックコレクション
東京オペラシティアートギャラリー 東京国際フォーラム 国際交流基金 豊田市美術館 岡崎市立美術博物館
関連情報 2006.1
2003.6
2001.12
1999.4
1998.2
お問い合わせは
ギャルリー東京ユマニテ humanite@js8.so-net.ne.jp
tel. 03-3562-1305 fax. 03-3562-1306