木村は1995年創形美術学校研究科卒業後から作品を発表し、2000年以降はドイツ、ニューヨークを拠点にヨーロッパ、アメリカなど国内外で活躍。現在は神奈川を拠点に活動をしています。何気ない日常の中で出会う些細な違和感、群集心理や潜在意識の中にある感覚をユニークな視点で捉え、立体、インスタレーション、映像など多様なメディアを駆使した作品を構築してきました。
顔を寄せ合うお面を付けた少女たち、触れ合うほどの距離で耳元にささやく生々しい口元、ガスマスクから吐き出される無数の棺、くり抜かれたファッション誌からのぞく夥しい数の女性の眼など、木村の作品はいつか夢で見たようなつかみどころのない違和感と現実が入り混じった光景を映し出します。「自身のうちにある茫漠としたものを形にしようとしている」と語る木村の見ている夢を共有しているような感覚に浸るうちに、鑑賞者自身の深層心理があぶり出され、無意識のうちに蓄積された価値観や思い込みの中を生きてきたことに気づかされるかもしれません。
本展は、映像と立体、大型のモビール作品、版画用の石板に描かれたドローイングなど、約10点の新作による構成となります。ユーモラスでありながら不気味さも併せ持つ木村の作品をお見逃しなく、是非ご高覧下さい。
〈作家コメント〉
夢
迷路のような古ぼけたアパートにみんなで住んでいる。
それぞれがそれぞれの狭い部屋で大騒ぎ。誰も独りになれない。
しかし騒ぎ声がどうもいつもと違う。
向こうの部屋で誰かが燃え出したようだ。
ここではどんな考えであろうと、一度囚われたら
人は燃えてしまう。しかも火に触れずとも他の人にもすぐに燃え移ってしまう。
逃げても逃げても、燃えた連中が追ってくる。
陽気な踊り子たちも燃え出す。
焦ればあせるほど、体が言うことを聞かず
這いつくばって後ろ足を踏み締めることしかできない。
>> 木村太陽 略歴
〈前回の展覧会〉
木村太陽 KIMURA Taiyo
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2021.12.6(月)‐12.25(土)
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