木村は1995年創形美術学校研究科卒業後から作品を発表し、2000年以降はドイツ、ニューヨークを拠点にヨーロッパ、アメリカなど国内外で活躍。現在は神奈川を拠点に活動をしています。何気ない日常の中で出会う些細な違和感や、存在意識の中に隠れる感覚を独自のユニークな視点で立体、インスタレーション、映像など多様なメディアを駆使して発表してきました。
昨年5年ぶりとなった個展では、殆ど触れ合うほどの距離で耳元にささやく生々しい口元、ガスマスクから吐き出された夥しい棺、淡々と仕事を全うする無数の警官など、木村が当初から興味をもっていた人間の想像力、群集心理、頭の中で勝手に作り上げた「常識」がきっかけとなり、見るものの知らず知らずのうちに身体の隅々にこびり付いた習慣や感覚、深層心理をあぶり出しました。
今回の展覧会タイトルは「cloud seeding」。今まさにコロナウイルスとの共存で暗雲とした集団の中にいる私たち。安易に答えが出ないかもしれない木村の作品と対峙することで、昔の記憶をたどり、考え続ける、その種まきができるのではないかと思います。
今回の新作展もペインティング、ドローイングの他に立体作品による構成となります。さらに、旧作のビデオ作品も会期中(12/13-12/25)、B1Fスペースにてご覧いただける予定です。併せて是非ご高覧下さい。
〈作家コメント〉
暗闇の中を数えきれない人たちとマラソンする夢。混雑に潰されないためだけに走ってる。
みなと呼吸がぴったりでキモいが気もちいい。
前方も後方も迫り上がってることからどうも超巨大なドラム缶のような構造物の中にいるらしい。
それが回転しているから走らされ、走るから、回転し続けているらしい。
誰かいいかげん止めてくれないだろうか。
外で何が起こってるのか分からないが、すごい音が響き渡り続ける。
>> 木村太陽 略歴
〈前回の展覧会〉
木村太陽 ペインティング&立体
KIMURA Taiyo Paintings & Sculptures
2020.7.2(木)‐7.22(水)
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