時松はるなは1984年千葉県生まれ。多摩美術大学在学中に当画廊にて初個展を開催。硬質なシャープペンシルで描かれたしなやかな線で、どこか可笑しく、どこか楽しい作品は好評を博し、その後東京オペラシティアートギャラリーでの所蔵品展、韓国でのアートフェアKIAFなどに出品。さらに「GEISAI
10」では審査員特別賞(サミュエル・クン賞)を受賞するなど、大学在学中から注目を集めました。また、近年は韓国やシンガポールでのグループ展、演劇や国立能楽堂、国際交流基金でのイラスト制作など活躍の場も広がっています。
画面いっぱいに広がる何やら楽しそうな人たち。ある時は舞台袖で出番を待つ俳優、ある時は男の子を追いかける女の子たち。そんな群衆の中にいてもどこか満たされない孤独感に悩む仲間がいる事も。一見淡々と過ごしてるように見える私たちの内面を代弁するかのように、時松は何気ない瞬間を切り取り、日常の中で繰り広げられるほのぼの、ドキドキとした感情の一場面をシャープペンシルや水彩、色鉛筆で軽やかに表現してみせます。
当画廊では5年ぶりとなる今展は、福住画廊(大阪)にて昨年開催された個展の巡回展で、初めての試みとなる墨と筆を使って描かれた作品20数点を展示いたします。シャープペンシルとは違うゆるやかな線はより自由度を増し、墨の濃淡やにじみを生かす事で表現の幅が広がりました。また、地下会場では2019年に制作された幅8mの大作を展示いたします。黒のオイルスティック一色で画面いっぱいに描かれた作品は、墨の色とは違うモノクロ世界が広がります。
さらに、当画廊より徒歩1分の大型複合施設「東京スクエアガーデン」の1階オフィスエントランスホールにて「時松はるな展」が開催されます。水彩や色鉛筆で着彩された作品を中心に、カラフルで楽し気な人々が描かれた作品19点がオフィスビルの入口を彩ります。
何気ない日々の積み重ねを愛おしみ、その思いをストレートに表現する時松のどこまでも自由な作品が、3会場それぞれで違った表情を見せてくれます。この機会をお見逃しなく是非ご高覧下さい。
〈作家コメント〉
わたしが学生時代にはじめてやった個展のタイトルは「なんか(すごく)楽しい」でした。その約15年後に改めて( )をはずして個展のタイトルにしました。
ふと思う、なんか好き、なんか違う、なんか良い、なんか嫌だ、なんかしあわせ、その言い表せない「なんか」に全てが詰まっていて、それこそ大事にしていきたい自分の核だったりするのかなと。
生きていくうえで「なんか楽しい」って思えることってやっぱりけっこうすごいことなのではないか、と立ち返るような気持ちと、やりそびれたこと、いつの間にか無くしてきたもの、まだ手放さなくてもいいもの、それらにまた会いにいけるような意味も込めて、絵を描きました。
〈関連企画〉
「時松はるな展」
2023年6月12日(月)‐7月7日(金) 土日閉館 10:00-19:00
東京スクエアガーデン1階オフィスエントランスホール
(〒104-0031 東京都中央区京橋3-1-1)
>> 時松はるな 略歴
〈前回の展覧会〉
時松はるな展 TOKIMATSU Haruna
a Day in Our Life in Tokyo
2018.3.22(木)‐4.7(土)
|