加納光於(かのう・みつお、1933-)は独学で銅版画を学び、1950年代半ばから作品を発表。1960年代にはリュブリアナ国際版画ビエンナーレ、東京国際版画ビエンナーレなど数々の国際展で評価を高め、日本を代表する作家となりました。
初期の作品は植物や生物を思わせるモノクロームの銅版画を中心に、その後メタルプリント、リトグラフ、オブジェなどを発表。また、瀧口修造、大岡信など詩人とのコラボレーション、舞台美術、ブックワーク等幅広い活動を行い、1980年代からは色彩豊かな油彩を発表。近年では愛知県美術館(2000)、神奈川県立近代美術館・鎌倉(2013)、CCGA現代グラフィックアートセンター(福島、2017)での個展、「瀧口修造/加納光於《海燕のセミオテック》2019」富山県美術館などに出品しました。
本展では、1999年に連作として制作された油彩57点のうち30点を展示いたします。タイトルにある「伊勢物語」は、貴族である在原業平を思わせる主人公の恋物語を中心とした和歌と小編の物語からなる平安時代の歌物語ですが、古典文学に興味を持つ加納が様々なイメージを展開し作られた本シリーズは、小品ながら濃密な色彩が折り重なり、色彩の洪水とも評される加納の生み出す豊かな表現は、時を経てなお観る者に新たな気付きと感動を与えてくれます。
当時、ギャルリーユマニテ東京、ギャルリーユマニテ名古屋で発表され、今回は24年ぶりの展示となります。貴重な機会となりますので、お見逃しなく是非ご高覧ください。
また、現在いわき市立美術館の常設展にて加納の作品約30点が展示されています。4月16日まで開催されていますので、併せてぜひご高覧ください。
>> 加納光於 略歴
〈関連情報〉
「収蔵作家セレクション:加納光於」
2023.1.28(土)‐4.16(日)
いわき市立美術館(福島県いわき市)
〈前回の展覧会〉
加納光於 《胸壁にて》―1980-82
KANO mitsuo Breast Region
2022.6.13(月)‐7.2(土)
オンラインショップ「OIL by 美術手帖」にて加納光於の作品を販売中
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