岩尾恵都子は1968年東京都生まれ。1993年多摩美術大学大学院美術研究科を修了。2000年には新人作家の登竜門である「VOCA展」で大賞を受賞し注目を集めました。その後、KIAF(韓国アートフェア)で開催された「日本現代美術特別展」、「VOCA1994-2003 10年の受賞作品展」大原美術館(岡山)など国内外で作品を発表。さらに「クインテットⅡ―五つ星の作家たち」損保ジャパン日本興亜美術館(2015年)、「ストーリーはいつも不完全…… 色を想像する ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展」東京オペラシティアートギャラリー(2021年)などに出品、東京を拠点に発表を続けています。
近年の岩尾の作品には草原、山、空、家(らしきもの)がモチーフとして描かれますが、それらは本来あるべき確実な姿で現れるのではなく、時に浮遊感のある構図からは何かの物語が始まるような不思議な世界が広がります。それは自身が育ってきた多摩丘陵や多摩川など日々何気なく目にする原風景や、家族との他愛ない日常を通して切り取られたかたちとなって表れてきました。
また、今回の新作は濃紺の背景が目を引きますが、ここ数年の難しい時間の中でも変わることなく、山や植物の美しさ、日々の生活を愛でて、これからも作家として描き続ける意思が感じられる、そんな作品です。
今回は4年ぶりの個展、ユマニテでは7年ぶりの発表となります。最新作の100号を中心に油彩約10点の他、新たに試み始めた版画作品などを発表いたします。お見逃しなく是非ご高覧下さい。
〈作家コメント〉
葉をすっかり落としたケヤキ、朝日を浴びる家、霜柱の立つ地面。
世界は光と影と時間、誰かの残像を加えて今日も存在している。
私が置いたキャンバス上の絵の具達が、楽しみな明日を覗く門となれば良いと思います。 2022年 冬。
>> 岩尾恵都子 略歴
〈前回の展覧会〉
岩尾恵都子展 IWAO Etsuko
2015.9.7(月)‐9.26(土)
|