この度、ギャルリー東京ユマニテでは木村太陽の個展を開催いたします。木村は1970年生まれ。創形美術学校研究科卒業後から間もなく作品を発表し、2000年以降はドイツ、アメリカ(ニューヨーク)を拠点にヨーロッパ、アメリカなど国内外で活躍。何気ない日常の中で出会う些細な違和感や、存在意識の中に隠れる感覚を独自のユニークな手法で作品に構築していきます。
可愛らしい白クマのぬいぐるみから聞こえる怪しげな笑い声、整然と並んだ牛乳パックの中には満員電車さながらの人たち、ページをめくったファッション誌からはおびただしい女性の視線など、木村は当初から立体、インスタレーション、映像と多様なメディアを駆使して発表してきました。一見、シュールでブラックユーモアのような印象を受けるその表現からは、知らず知らずのうちに身体の隅々にこびり付いた習慣や感覚が表出され、拒否反応とともに見るものの深層心理をあぶり出します。
そして、今まさに世界中を席巻しているコロナウイルスと共存する私たちの日常も今までの生活とは一変し、さまざまな価値観や慣習が見直されています。この状況下で木村がどのような作品を私たちに提示してくるのか、その作品を通して新たな問題意識を起こさせるかもしれません。
今回、5年振りとなる新作展はペインティング、ドローイングの他にレリーフなどの立体作品による構成となります。ギャルリー東京ユマニテでは初めての発表となる本展、お見逃しなく是非ご高覧下さい。
〈作家コメント〉
ダルマさん転んだのように振り向くたびに少しずつ迫ってくる者たち
薄い存在感に油断してると
隙間なく、ぐるりと取り囲まれて出口なく
わっと叫んで夢から覚めたところで救いのなさにかわりはない。
>> 木村太陽 略歴
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