岡本敦生は多摩美術大学大学院彫刻科修了後、1980年代から作品を発表。中原悌二郎賞優秀賞(1996)、ヘンリー・ムーア大賞(1983)などを受賞し、その後も国内外の展覧会に出品。各地のシンポジウムに参加し、野外彫刻も数多く手掛けています。また、2005年には画家・野田裕示とのコラボレーションで「第21回現代日本彫刻展」毎日新聞社賞を受賞するなど日本を代表する彫刻家として活躍。さらに近年ではイギリス各地で個展を行い好評を博しました。今回、ギャルリー東京ユマニテでは7年ぶりの新作展となります。
太古の昔から身近な素材である石。岡本は、その最も根源的存在である石が本来持っている内包する記憶をよみがえらせてみたい、という思いから新たな彫刻へと生み出してきました。岡本の代表作「記憶体積シリーズ」は、御影石を素材にいくつかのパーツに分割し、再び構築した有機的なフォルム。また、前回の個展では、その重量を感じさせない生き物のようなユニークなかたちが出現しました。
今回の展覧会タイトルは「CALDERA」(カルデラ)。その表面には無数のノミ跡が残り、新たな形が浮き上がっています。山の噴火、大地の陥没などによるカルデラには水が溜まって湖ができ、水があった痕跡が残る。これは近年制作を続ける水中屈折のかたちにも繋がっているといいます。黒御影石を素材とした彫刻、および壁面設置の作品など3点を中心に出品いたします。常に真摯に石と向き合い、新たな展開を見せる岡本の最新作。この機会をお見逃しなく是非ご高覧下さい。
〈作家コメント〉
大学を出た頃に、水の屈折から導き出した形を作っていた。その形の作り出す領域が不可思議な空域だと感じ、そしてここ数年、再度屈折した形を作り始めている。その原点に、嘗てカルデラに魅せられていた自分が居たことを、思い出している。
>> 岡本敦生 略歴
〈前回の展覧会〉
岡本敦生展 OKAMOTO Atsuo "excavation"
2014.12.1(月)‐12.20(土)
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