中井川由季は多摩美術大学大学院修了後、1980年代から陶を素材に立体作品の制作を試み、国内外の展覧会で発表。作品は多くの美術館にコレクションされ、さらにコミッションワークも手掛けています。
土を捏ね、焼きしめて生成される陶は古来から用の美として器などで使われてきましたが、中井川はその身近な素材でいくつものパーツを組み合わせて大規模な作品を作り上げるという手法で作品を発表してきました。
2016年にはプライベートでもパートナーである井上雅之との二人展を当画廊で開催。約70cmの俵形を20数個組み上げるという作品でユニークな展示空間を作り上げました。中井川が近年取り組んでいるのが、少しずつ表情が違ういくつかの形を並べたり、積み重ねたりする作品で、小さな固まりが持つ集合体はまるで命を宿した生き物のように不思議な存在感に満ちています。
今回はユマニテにて中井川の初めての個展となります。丸みを帯びた形態がいくつも重なり合った2.5mもの大作を中心に発表します。この機会をお見逃しなく是非ご高覧下さい。
〈作家コメント〉
「折り重なって雪崩れる」
ここ数年続けている、表情が微妙に違う似た形を、繋げたり重ねたりする仕事を、今回も試している。お尻に突起があり、頭に窪みがある俵形を折り重ねるように作って行った。重なる順に一つ一つ手捻りで作っていくので、粘土の乾きを見ながらの気の長い作業となった。自分の外側にある「何か」から作品にふくらませる時もあれば、前に作った「かたち」から紐解く場合もある。それが幾重にも重なったり、絡み合ったりしながら次の作品に繋がっている。
>> 中井川由季 略歴
〈以前の展覧会〉
井上雅之・中井川由季 INOUE Masayuki・NAKAIGAWA Yuki
2016.10.3(月)‐10.15(土)
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