岡田ムツミは1953年、長野県生まれ。女子美術短期大学卒業後、1985年に旧西ドイツに渡り、ケルン美術大学、パリ・ボザールで絵画を学びました。その後現在まで28年間、ドイツ・ケルンを制作の拠点として発表を続けています。本展はギャルリー東京ユマニテにおいて3年ぶりの新作展となります。
岡田の作品は、カンバスに極限られた色数で平行なラインや幅の違うストライプが描かれています。一見ストイックでシンプルな作品ですが、その整理された画面からは実に饒舌で芳醇な香りが漂ってきます。
岡田は、例えば日課になっている散歩の途中に訪れる公園の風景、耳にする音楽、小説などから受ける感情、感覚を視覚的に表すにはどうしたらよいか、それらを絵画に置き換えたら…、という手法で作品に作り上げていきます。作品「さくら」は桜が持つ独特のイメージと、桜の風景から立ち昇る香りや感情を色という無限の素材を駆使して表現していきます。それは、30年近く日本から遠く離れて生活してきた彼女の生き様そのものが作品となり、人間が本来持っている全ての感覚を呼び覚ましてくれるようです。
また、数年前からは金属板に油彩を施す手法に出会い、銅やアルミなど素材本来の美しさと油彩の色調でさらに岡田の世界は広がりました。この豊かでありながら、静謐な瞑想性さえもが漂う岡田ムツミの作品。今回は、銅板に油彩の新作を含めて10数点を展示いたします。絵画の原点に戻り、充実感に満たされる体験、お見逃しなく是非ご高覧下さい。
>> 岡田ムツミ
略歴
<作家コメント>
今回の発表では、今までのキャンバスに油彩、に加えて、銅板、あるいはアルミ板に油彩の作品もご覧頂きたいと存じます。
金属板に油彩は金属が既に色彩を持っていますので、それとの共演となりますから、私自身が何かを思って制作してきた、今までとは少し違います。そんな作品をご覧頂く事になりました。
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