岡田修二は1959年香川県生まれ。'87年愛知県立芸術大学大学院油画専攻修了。2007年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程を修了し、現在は成安造形大学(滋賀県)の教授として活躍。近年は大原美術館、セゾン現代美術館、滋賀県立近代美術館などで発表し精力的に活動しています。
岡田が'96年頃から発表した初期作品「TAKEシリーズ」は、画面いっぱいに拡大された顔や手のイメージに、顕微鏡写真の画像を重ねた作品で、一見モノクロ写真と見間違うほどリアルに描かれた画面は、絵画をめぐる視覚の本質を問う独特のスタイルで岡田の代表作となり、'98年にはVOCA奨励賞受賞を受賞し注目を集めました。
近年は、自宅近く琵琶湖水域に関心を寄せ、湖畔の植物風景を描いた「水辺シリーズ」を展開しています。柔らかい日差しを浴び静かな水面に浮かぶ木々の落ち葉。たっぷりと芳醇なまでに漂う湿度と豊かな生命の瑞々しさ、これらが2mもの大画面が広がり、見る者のスケール感を麻痺させます。水の中に潜む現象と記憶が交錯する画面に、不思議と優しく包み込まれる充実感を感じます。
今回の個展は「水辺シリーズ」の新作を中心に、この夏滋賀県立近代美術館の企画展『自然学|SHIZENGAKU
―来るべき美学のために―』で発表された作品の中からセレクトした大作油彩4点を中心に、新しいタイプのドローイング作品も展示します。
ギャルリー東京ユマニテで6年ぶり2回目の個展となる今回、着実に制作を続ける岡田修二の新作をこの機会に是非ご高覧下さい。
>> 岡田修二
略歴
<作家コメント>
私のフィールドワークの現場である琵琶湖水域は、WWF(世界自然保護基金)やラムサール条約でも注目されている場所です。生物それ自体の生きていることの事実に根ざした感情や感覚の広がりについて考えています。それは広い意味での生態学〔ecology〕的領域への接近と言えるかもしれません。自然の側にある創造性を顕在化させることが重要だと考えています。沼地にカメラを持って入る経験は、私に多くのことを教えてくれます。そこでは、あらゆるものが生成と消滅を反復しながら、偶発的に交叉し、関連し合って重層しているのです。
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「水辺 64」 2012
油彩、キャンバス 174×218cm
"Waterscape 64" 2012
Oil on canvas 174x218cm
「水辺 63」 2011
油彩、キャンバス 174×174cm
"Waterscape 63" 2011
Oil on canvas 174x174cm
「水辺 58」 2010
油彩、キャンバス 174×218cm
"Waterscape 58" 2010
Oil on canvasw 174x218cm
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