大久保愛は1982年東京生まれ。多摩美術大学油画科在学中に当画廊にて初個展を開催。その後東京を中心に作品を発表。今回は4年ぶりの新作個展となります。 大久保はこれまで、見知らぬ人が捨てたコンビニのレシート、落とされた電車カード、捨てられた名刺などを拾い集め、そこに残されたデータを自身でたどり、存在したであろう「ある人」の日常を、ある時は探偵のように、またはストーカーのようにまったく同じように追体験し作品にしてきました。大久保は見知らぬ人の気配を集め、その人がどのような生活をしているのか想像する行為がたまらなく好きだといいます。 前回の個展では、街中に溢れ飛び交う音の中から日々見知らぬ人の声や物音を傍受し、それらを1枚ずつCD-ROMに録音し、会場内で再生させるインスタレーションを発表しました。電車のアナウンスからタクシーの無線、携帯電話の会話など、一瞬ただの雑音にしか聞こえない中から無防備にも様々な生活の音が撒き散らされ、私たちは知らず知らずの内に他人の生活を垣間見ているようです。 今回の展示では、数年前から制作している薬を用いた立体作品を発表します。大学の女子トイレやいつも並ぶバス停などに落ちていた薬のカプセルや錠剤のパッケージ。大久保はそれらを採取し、その薬の効能や症状を調べ、それらを服用していたであろう人たちの生活や感情を想像し、きれいな立体作品へと作り上げていきます。その素材となる薬は蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、アレルギー性鼻炎、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症など。日常生活の裏側に潜む現代人の様々な感情と気配に大久保はそっと寄り添います。何気ない日々の生活から、ふと目をそらした瞬間に身の回りに溢れる人の痕跡は、今までにない別の景色を見せてくれるようです。怪しくも繊細な大久保愛の世界。どうぞ是非ご高覧下さい。
<作家コメント> 人は日々無意識的にあるいは意識的に痕跡を残す。 それらはその人の身体の一部の様でもあり吐息のようでもある。 私はそれらを拾い集める。 残された薬の殻 無造作に捨てられた名刺 漏れ聞こえてくる音声 私には宝物のようである。 なぜなら それらをもとに私はあなたを想い妄想し 生きたまま自分の檻の中に閉じ込めるのだから。
<展示内容> 薬などのミクストメディアを素材にした立体作品約15点
<関連企画> 本展は銀座、京橋の11画廊が参加する「画廊からの発言 新世代への視点 2011」の企画展示です。参加画廊、作家情報、関連企画などの詳細はウェブをご覧ください。
<展覧会概要> 画廊からの発言
新世代への視点 2011 |
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