〈作家コメント〉
私は、女性をテーマに、 木版画と銅版画の併用で作品を制作しています。
大学3年生の夏頃から、この2つの版種の最低限の知識を応用し、はがきサイズから制作をはじめ、試行錯誤を繰り返し研究を重ねてきました。
私の中で、木版画は木の温もりが人の肌の温もりや優しさに繋がっており、さらに水性木版を用いることでより瑞々しく、優しい印象を作り出せると考えています。
特に自作の大きな水性木版画作品では、 ぼかしや微妙な違いの色味を摺り重ね柔らかい印象を作り、アクセントになる様な色も加えながら、
強さや自信が湧き出てくるインパクトのある作品になる様こだわっています。
そして銅版画では、シャープな線、ディープな線、細かい描写で繊細さ、曲線美、様々な方向から交わる線の重なり、 それらをねっとりとしたインクで紙に刷りとることで、インクが盛り上がり、
うちに秘めた複雑な感情を表現することができると考えています。
この二つを併用することで自作で求めているイメージに繋げることができ、自身の制作スタイルを得ることができました。
また、作品を通して、生きることの喜びや辛さなどを伝えたいと考えています。
そして、メイクや髪の毛、服などもこだわって作品を制作しています。
人によって違いはあるかもしれませんが、辛いことや悲しいことがあった時、 何か小さな幸せを見つけて生きているのではないかと思っており、私の場合、それはメイクやお酒落をすることです。そういう、少しの自信と小さな勇気を身につけて前に進んで欲しいと、
自身や鑑賞者に願いながら、制作をしています。
東尾 文華 HIGASHIO Ayaka
1997 |
大阪府生まれ |
2020 |
日本大学芸術学部美術学科絵画コース版画専攻卒業 |
2022 |
日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程造形芸術専攻版画分野修了 |
[受賞歴] |
2019 |
「第65回全関西美術展」 入選 |
2020 |
日本大学芸術学部長賞 「儚き心で」「罪の味」「今が人生」
「日芸版画 イン シラキノ展」 オンライン審査部門 準大賞・直接審査部門 佳作
「第45回全国大学版画展」 町田国際版画美術館賞(収蔵賞) |
2021 |
「第8回山本鼎版画大賞展」 入選
「日本版画協会 第88回版画展」 入選
「モレスキン アートコンペティション2021」 最優秀賞 |
2022 |
日本大学芸術学部湯川制賞 「女神の憂鬱」「White star」「faithful」「空の方へと」 |
[パブリックコレクション] |
2020 |
町田市立国際版画美術館、東京 |
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「空の方へと」
2022
水性木版
180.0×90.0cm
「The one」
2021
水性木版、亜鉛凸版
30.0×30.0cm
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