「画廊からの発言 新世代への視点2016」は、銀座・京橋を中心とした13画廊が各々に推薦する新鋭作家の個展を同時開催する企画です。ギャルリー東京ユマニテでは1985年生まれの繪畑彩子(えばた・あやこ)を紹介いたします。
妖怪や人面魚、足の生えた植物―そんな異形の者ばかりかと思いきや、折り重なるように群れる小さなおじさんたちが。妖しく美しい蜘蛛の巣を広げる蜘蛛に、おじさんの顔をした昆虫。繪畑の作り出す世界の住人たちは、生き物としての境界も優劣も軽々と超越し、自由にこちらとあちらの世界を行き来しているようです。私たちの目には見えない(見えないと思っている)世界は案外近くにあり、ちょっと覗けばひまつぶしに勤しむそんな生き物たちの世界が見えるのかもしれません。
奇妙だがユーモラスなこの生き物たちは、消しゴムはんこによって精緻に描かれています。それぞれのはんこは濃淡をつけて重ねて押され、動きの軌跡を見せるかのように画面を作り上げています。更に進化した新作では、それらの生き物たちが映像の中で実際に動き、ますます自由な世界を繰り広げます。
当ギャラリーでは3回目となる繪畑の個展では、これまでも、中原中也の「生ひ立ちの歌」や芥川龍之介の「蜘蛛の糸」など文学に題材を求めた作品、昆虫採集のように標本箱に妖怪をおさめた「寄生生物標本箱」シリーズなど、さまざまな視点から作品を展開してきました。また、消しゴムはんこにとどまらず、陶芸や彫金など多彩な手法を用いた立体作品も発表しています。
本展では、映像作品を中心に、消しゴムはんこの平面作品や人面魚のランプシェードなどが出品されます。この機会をお見逃しなく、ぜひご高覧ください。
<作家コメント>
あなたは、自分を特別な存在だと思い込んでいないだろうか。
虫や魚などを気持ち悪いという人がいるが、人間の姿の方がよっぽど滑稽で奇妙な生き物である。
もし、明日からドジョウとして生きなければならなくなったとしたら・・・
ちょっとそんなことを想像するだけで、普段の景色が違って見えないだろうか。
>> 繪畑彩子 略歴
<画廊からの発言 新世代への視点2016>
本展は銀座・京橋を中心とした13画廊の共同開催によるもので、各画廊が推薦する40歳以下の新鋭作家の個展を同時期に行う企画です。1993年に始まり、今回で17回目を迎えます。参加画廊、作家情報、ギャラリーツアーの詳細はウェブサイトをご覧ください。
主催:東京現代美術画廊会議
【アーティストと行く「新世代への視点2016」ギャラリーツアー】
- 「巡る・楽しむ・現代美術」
ツアーコンダクター:中山ダイスケ(アーチスト、アートディレクター)
2016年7月29日(金) 13:00-17:00
予約受付: FUMA Contemporary Tokyo | 文京アート bunkyo-art@wind.ocn.ne.jp
- 「アートフルに迫ろう!高校生が行くギャラリーツアー」 *高校生対象
ツアーコンダクター: 遠山香苗(美術家)
2016年7月30日(土) 13:00-17:00
予約受付: ギャラリー川船 kawafune@diamond.broba.cc
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