「画廊からの発言 新世代への視点2014」は、銀座・京橋を中心とした12画廊の共同開催による展覧会で、各画廊が推薦する若手作家の個展を同時期に開催する企画です。ギャルリー東京ユマニテは佐竹真紀子(さたけ・まきこ)を紹介いたします。
佐竹は1991年生まれ、現在武蔵野美術大学大学院に在籍しています。数々の展覧会にて精力的に作品を発表するなか、「リキテックスアートプライズ2012」では準グランプリを受賞、活躍目覚ましい注目の若手作家です。
佐竹の作品でまず目を引くのは、その鮮やかな色彩です。画面上の一本の線のなかに、実に多くの色がひしめいています。目を凝らすと、それは描かれた線ではなく、削り取られる事であらわになった色の積層の断面である事に気が付きます。支持体全体にアクリル絵具を一色ずつ層になるように塗り重ね、その色層を削りイメージを描き出すユニークな手法で制作されています。
時に色層は切り込みに沿ってめくれ、皮膚のように生々しく支持体から垂れ下がります。本来見る事のない絵具の裏側があらわになり、色層をまとっている隠された内面への興味をかきたてます。あるいは、今まとっている色を脱ぎ捨て、新しい何かへ変化しようとする姿かもしれません。
宮城県出身の佐竹は、東日本大震災を挟んで過去と現在を行き来するように、自身の記憶と体験をもとに制作しています。それは鮮やかな色彩で、悲しみを覆い隠しているだけなのかもしれません。しかし、目をそらさず向き合い続ける姿勢からは、前に進もうというという意思と、未来への希望が感じられるのです。
昨今、平面作品から立体作品へと表現の幅を広げている佐竹ですが、本展では展示室全体を使ったインスタレーションを展開します。佐竹の目に映る世界がどのような色彩で表現されるのか、この機会をお見逃しなく是非ご高覧ください。
<作家コメント>
皮膚は誰もが持ち合わせている境界線である。
本当のことが知りたくて手を伸ばしても、それが目に見えているのか、あるいは内包されているのか、所在はわからない。
ただ指先に残る記憶を頼りに探していく。
>> 佐竹真紀子 略歴
<以前の展覧会情報>
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