加納光於（かのう・みつお、b. 1933）は独学で銅版画を学び、1950年代半ばから作品を発表。1960年代にはリュブリアナ国際版画ビエンナーレ、東京国際版画ビエンナーレなど数々の国際展で評価を高め、日本を代表する作家となりました。

初期の作品は植物や生物を思わせるモノクロームの銅版画を中心に、その後メタルプリント、リトグラフ、オブジェなどを発表。また、瀧口修造、大岡信など詩人とのコラボレーション、舞台美術、ブックワーク等幅広い活動を行い、1980年代からは色彩豊かな油彩を発表。近年では愛知県美術館（2000）、神奈川県立近代美術館 鎌倉（2013）、CCGA現代グラフィックアートセンター（福島、2017）での個展、「瀧口修造／加納光於 《海燕のセミオテック》 2019」富山県美術館などに出品しました。

本展は、それまで版画作品を制作してきた加納が初めて油彩を発表した個展（アキライケダギャラリー、名古屋、1980）に出品した《胸壁にて》シリーズ（油彩40.4×31.2cm）及び、美術館での油彩初個展（北九州市立美術館、1983）で発表した作品を展示。30数点まとめての展覧は約40年ぶりとなります。当時、版画のイメージが強かった加納が現在に至るまで制作を続ける油彩のエポックメイキング的な本シリーズは今でもなお、加納の代表的な作品の一つとして強烈な印象を与えています。

現在もなお精力的に制作に挑む加納の油彩の原点ともいえる本作品。この貴重な機会をお見逃しなく是非ご高覧下さい。

>> 加納光於 略歴

〈前回の展覧会〉

加納光於　「波動説」―インタリオをめぐって
KANO Mitsuo　Color Intaglio 1984-1985
2021.6.28（月）‐7.17（土）

オンラインショップ「OIL by 美術手帖」にて加納光於の作品を販売中