富田菜摘(とみたなつみ)は 1986 年東京生まれ。多摩美術大学油画科在学中の 2007 年にギャルリー東京ユマニテで初個展、同年KIAF(韓国アートフェア)に出品。その後、東京、名古屋、大阪のギャラリー、「ふなばしアンデルセン公園子ども美術館」で個展を開催。また、浜田市世界こども美術館、妻有アートトリエンナーレ「里山アート動物園」、「高島屋美術水族館」など多くのグループショウで作品を発表。その他、町田市市民病院、日本橋三越ショールーム等での作品展示、廃材を使ったワークショップなど多方面で活躍する、現在最も注目される若手作家のひとりです。さらに昨年は、シンガポールに滞在し、現地で集めた廃材を素材に制作し、ギャラリーでの個展も行い好評を博しました。
富田の代表的な作品は、既に廃棄された自転車や電子、事務機器などの金属廃材をバラバラに分解し、再度、縦横に合体、組み立てられたカメやザリガニ、ワニなどの生き物の作品で、これらは無骨な廃材から生まれ変わって、何ともキュートで愛らしい表情の作品に姿を変えていきます。これらの立体作品は、大きいもので約
2m、中には椅子のキャスターをそのまま仕込んだものもあり、大人も優にその上に跨いで乗ることもできるようになっています。
富田が金属廃材の作品と並行して取り組み始めたのが、今回のメインとなる新聞や雑誌のコラージュで等身大に作られた人体作品で、タイトルは「さんざん待たせてごめんなさい」。
10 体の人物それぞれには富田がイメージしたキャラクターと架空の名前が付けられています。「鈴木虎之介」なるメタボなおじさんは新聞の健康欄に見入り、株式投資が趣味の経済じいさん「山崎俊二」は日経新聞の株式指標で、スーパー帰りの主婦「田中俊子」は安売りチラシで、モテキャラ女子大生「山田友里」は雑誌
cancam で、どこか不安げな海外からのビジネスマン「ジョージ・ウィリアムズ」はジャパンタイムスでと、彼らの表情や服装、スタイルはそれぞれを象徴す新聞や雑誌の切り抜きで驚くほど精巧に作られています。偶然、同じ行列に並んだ
10 人は、それぞれの人生を抱えて当たり前のように日々過ごしている私たちの隣に存在する、そんなリアル感にあふれています。
今回は、ギャルリー東京ユマニテにおいて 3 年ぶりの個展となり、今までの金属作品から一転、人体の作品を中心に平面作品も発表いたします。ここ
3 年で国内外の個展、グループ展、作品展示、ワークショップとさまざまなステージで活躍してきた富田の、東京での久しぶりの大規模な新作展です。
次々と新たな展開に挑戦する富田菜摘の新作展をどうぞお見逃しなく、是非ご高覧下さい。
また、ほぼ同時期に「日本橋高島屋美術画廊 X」において、小学生を対象として日常品を素材に作品を作るワークショップと近作の展示も行います。
併せてご高覧下さい。
<作家コメント>
よく街中で見かける行列、電車の座席。
見ず知らずの他人同士が、同じ目的で、肩が触れ合うくらい密に並んでいる。
同じ空間にいるのに、それぞれが自分の世界に入り、思い思いのことをしている。
そんな人々を観察し、どんな人なのかなぁと想像するのは楽しい。
だが、そんな私も、その他人の集団の一員なのだ。
■富田菜摘 (とみたなつみ)
1986 東京生まれ
2009 多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
個展
2007
「GALAPAGO」ギャルリー東京ユマニテ、東京
「爬虫綱有鱗目イグアナ科」スタートラインギャラリー、東京
2008
「I LOVE SON」NODA CONTEMPORARY、名古屋
「富田菜摘ワールド 動物たちのゆかいな森」ふなばしアンデルセン公園子ども美術館、千葉
2009
「WONDERLAND」日新製鋼ギャラリー、東京
「PARADISE」福住画廊、大阪
「よりどりみどり」ギャラリーストレンガー、東京
「It's A Wonderful World」 iPRECIATION、シンガポール
2010
「Night Carnival」福住画廊、大阪
主なグループ展
2008
「現代美術の動物園」浜田市世界こども美術館、島根
2009
「里山アート動物園」まつだい農舞台ギャラリー、新潟県十日町市
「高島屋美術水族館」高島屋(東京、大阪他巡回)
その他
OTEMACHI CAFE(東京)、日本橋三越本店ショーウィンドウでの作品展示、町田市民病院小児科外来廊下(東京)でのアートワークプロジェクトに参加。NHK-BSTV
「もったいナイト」に出演。
パブリックコレクション 浜田市世界こども美術館、島根
<関連企画>
1.「富田菜摘のこんなアートもある」
http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/event3/index.html#event3_8
7/21(水)-8/2(月) 会場:日本橋高島屋6階美術画廊X
ワークショップと作品の展示がございます。併せてご高覧下さい。
2.「新世代への視点2010」
http://www.galleryq.info/news/news_newgeneration2010.html
本展は銀座、京橋の11画廊が参加する「画廊からの発言 新世代への視点2010」の企画展示です。
参加画廊、作家情報、関連企画などの詳細はウェブをご覧ください。
企画イベント「シンポジウム」 7/30(金) 18:30-20:30
パネリスト:天野太郎(横浜美術館学芸員)、福住廉(美術評論家)、金村修(写真家、アーティスト)