この度、日本を代表する女流画家、嶋田しづの新作展を開催いたします。
嶋田は、1942 年に現在の女子美術大学の前身である女子美術専門学校師範科西洋画部を卒業後、早稲田大学で書家、東洋美術研究者の會津八一に師事しました。二紀会などに出品後、1958
年に渡仏し、サロン・ド・メ、サロン・ドートンヌなどのフランス、ヨーロッパの画壇で活躍したのち1978 年に帰国。パリと逗子とを制作の拠点として、東京を中心に定期的に作品の発表を行ってきました。
また一昨年には、東洋と西洋との絵画を融合した独自の制作活動が認められ、第15 回井上靖文化賞受賞。近年は静岡、富山、京都などで大々的な個展が開催され、画業生活六十有余年となる現在も精力的に制作に励んでいます。
画面いっぱいに広がる伸びやかで色鮮やかな浮遊物。作品の中の芳醇な色のパレードと、意思を持ったようなその浮遊物の構成による作品は、思いっきり吸い込んだ、どこまでも自由な空気としか言いようがありません。
嶋田は1950 年代後半のパリでの生活から一貫して東洋と西洋との融和をメインテーマに作品を制作、発表し続けてきました。作品の色使いや構成からは西洋の自立した自由さが垣間見えますが、そのフォルムにはどこか東洋的な
雰囲気が漂います。
嶋田は“FRUCTUANT NEC MERGITUR”「漂えず沈まず」という言葉を座右の銘としています。これはパリ市の紋章に使われているラテン語ですが、長年、フランスと日本を行き来しながら制作を続ける芸術家としての生き様を充分にあらわしている言葉だと思います。嶋田はこの言葉通り、何れにあっても独自の芸術に対する信念を持ち、常に新たな挑戦を続けきました。
昨年までは今までの作品を回顧する発表が続きましたが、本展は大作の油彩のほかに、新たに試みた陶板、オブジェなどの新作も発表いたします。
混沌としたこの時代に、長年独自の理念に基づいて活動を続ける作家の作品を今一度じっくりと見つめる機会が来たのではないでしょうか。
現在も尚、新たな展開を見せる嶋田しづ。今回の新作展も是非ご高覧頂けますようご案内申し上げます。
関連情報
同時期に横須賀美術館にて、嶋田しづの作品展示がございます。 併せてご高覧下さい。
展示名 「所蔵品展小特集・嶋田しづ」
会 期 2009. 4/18(土)-7/5(日) ※会期中、展示替えがあります。
会 場 横須賀美術館 http://www.yokosuka-moa.jp/
神奈川県横須賀市鴨居4-1 tel. 046-845-1211
嶋田しづ 略歴
1923 樺太(サハリン)で生まれる
1942 女子美術専門学校師範科西洋画部卒業
1945 早稲田大学文学部美術史科東洋美術史専攻修了 會津八一に師事
1954 二紀会新人賞 1956 同人賞 1957 最優秀賞
1958-’78 パリ在住 絵画、版画などを制作し、サロン・ド・メ、サロン・ドートンヌなどのフランス、ヨーロッパ画壇で活躍。帰国後は、東京などで定期的に作品を発表
1971 第3 回国際フェスティヴァル絵画展民族賞(フランス)
2007 第15 回井上靖文化賞受賞 池田20 世紀美術館(静岡)にて個展
2008 高岡市美術館(富山)、韮崎大村美術館(山梨)、京都藝術交流協会 ART FORUM JARFO(京都)にて個展
お問い合わせは
ギャルリー東京ユマニテ humanite@js8.so-net.ne.jp
tel. 03-3562-1305 fax. 03-3562-1306