向山 裕 展 「海水・酸素」 MUKOYAMA Yutaka "Dissolved oxygen in seawater"
2008. 8 / 25 (月) - 9/ 6 (土) 日曜日休廊 10:30-18:30

向山裕は1984 年大阪府生まれ。宝塚造形芸術大学在学の2005 年、当画廊企画の若手作家を紹介する展覧会"humanité lab"で初個展を開催。100 号から120 号の巨大なキャンバスに、実際には指先ほどの小さな熱帯魚や、頭と尾に分かれたウナギなどを精密なタッチでリアルに描き、注目を集めました。昨年は、韓国で行なわれた"Asian Young Artists in Heyri 2007"にも出品。その卓越した技術によって描かれた、どこか愛着を感じる作品が多くの反響を呼びました。

向山が近年描くモチーフには、ウナギ、たこ、海ほたるなど海の生物が多く見られます。向山は、まず気になった生物をネットや辞典で調べ、入手可能な生物は実際に飼って、その生育を共にします。
例えば「うみほたる」。実際にはゴマ粒くらいの大きさですが、顕微鏡で観察し、ついには解剖までして内蔵や体のしくみを詳細に調べ上げ、キャンバスに描いていきます。

それらは、図鑑に登場しそうな、作家の意思を殆ど感じない写実的な生き物ばかりですが、どこか愛くるしく、ユニークで人間のような親しみや悲哀を持っているかにも見えます。

今回の個展は3 年ぶりの新作展となり、2.5×2.5m の大作を中心に油彩約10点、他に動物の一部分を木彫で制作した立体作品数点を展示いたします。
昨今注目を集める若手作家の中でも、高度な技術とインパクトのある作品で定評のある向山、注目の展覧会を是非ご高覧ください。

■ 作家コメント
生物の硬いところが好きで、貝殻や骨、たまごの殻などを集めている。人によってはゴミに見えるだろうし、汚いと感じる人もいるかもしれないが、私にとっては大変素敵な存在だ。
たとえば、私がつい拾ってしまうものとして、浜に落ちているイカの甲がある。どんな一生を送ったイカなの かは知りようがないが、この無生物と化した甲に、一匹のイカの存在を思う。
新陳代謝が終わり、軟らかい血肉が分解されてすっかり消え去った後、こうした硬い部分はしばらくこの世に 残る。ネガとポジの関係の如く、これは生命活動が転写されたもので、生物が存在したことを示す痕跡である。この個性の消失した存在感に美しさを感じる。
私の作品制作は、無形の思考の、具体的な事物への転写であり、制作者のいなくなった後も作品はしばらくこ の世に残る。大半の人には興味がなくとも、「おや」と誰かの目に留まる事もあるだろう。時を問わず、彼らと言葉を交わすのはおもしろい事だと思う。

■ 向山裕 (むこやまゆたか )略歴

1984 大阪府生まれ
2004 大阪美術専門学校絵画専攻卒業
2004 グループ展「穴族」かまぼこ(大阪)
2005 個展「鳥類図鑑」ギャラリー白(大阪)
2005 グループ展「音と音楽にまつわる展覧会」ギャラリーR.P(大阪)
2005 個展humanité lab vol.8「降河回遊」ギャルリー東京ユマニテ(東京)
2006 宝塚造形芸術大学絵画コース卒業
2006 グループ展 「新世代への視点小品展」ギャラリーなつか(東京)
2007 "Asian Young Artists in Heyri 2007 Autumn Project"(ヘイリ・韓国)

>> 作品リスト

>> 作家HP

お問い合わせは ギャルリー東京ユマニテ humanite@js8.so-net.ne.jp
tel. 03-3562-1305 fax. 03-3562-1306


「うみほたる」 “Sea -firefly”
2007 oil on canvas 112.0×145.5㎝


「かいだこ」 ”Argonauta argo”
2008 oil on canvas 116.7×116.7cm


「ウナー」”Unah”
2005 oil on canvas 60.6×145.4cm


「ヒメコンドル」 2007
桂 黒瑪瑙 油彩 7.9(W)×19.2(D)×10.5(H)cm
“Turkey vulture” wood, onyx, oil

EXHIBITION

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