ギャルリー東京ユマニテが若手作家を紹介するユマニテラボシリーズ。今年最初の展覧会、齋藤知華(さいとうともか)展をご案内いたします。
齋藤は、1983 年、神奈川県生まれ。多摩美術大学でテキスタイルを専攻し、
今春、同大学大学院を修了しました。
一見、海底生物を想像させるフォルムの色鮮やかな立体。ポリエステルや綿の柔らかな素材で伝統的な「絞り」で作り上げられた突起が触覚を刺激します。テキスタイルは、服飾や住デザインのイメージが強い領域ですが、絞りという伝統的な技法を駆使し、斉藤は軽々とその境界線を超え、魅力的な彫刻作品として提示していきます。
展示内容は大作の他に小品10 数点。今回が初めての個展となります。斉藤の布による不思議な世界、どうぞ是非ご高覧下さい。
■作家コメント
プライベートな 「宝もの」 は時に人の理解を失うことがある。映画 『エレファント・マン』 でバイツがジョン・メリックに対して 「私の宝もの」
と語りかけるシーンがある。メリックは 「宝もの」 と称するにはためらってしまう醜い容姿をしている。しかしそれは一方的でアンバランスなバイツのリアルな愛情を圧縮した言葉だった。布を絞っていると私は私の中の小さなバイツの存在に気づかずにはいられない。布を針で刺し、糸で力いっぱいに引き絞り、煮えたぎったお湯に浸す。そうしてできたフォルムは軟弱でかわいらしく、こちらの好奇を刺激し、私の腕の中でひっそりと輝く宝ものになる。
■齋藤知華 略歴
1983 神奈川県生まれ
2006 多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイル専攻卒業
2008 多摩美術大学大学院美術研究科デザイン専攻テキスタイルデザイン領域修了
展覧会歴
2007 多摩美術大学大学院四人展『FOUR-NINES exhibition』千疋屋ギャラリー・東京
日本現代テキスタイルアート展『試行する布』元麻布ギャラリー・東京
シルクロードプロジェクト 巡回展 キルギス・トルコ
産学官共同研究『町田市民病院アートワーク計画』に参加. 霊安室のアート
ワークを担当
2008 『多摩美術大学大学院美術研究科テキスタイルデザイン領域修了制作展』
le bain 東京
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