城戸保は1974年三重県生まれ。愛知県立芸術大学油画科卒業後、名古屋を拠点に発表を行っています。昨年、愛知県美術館で開催された「放課後のはらっぱ-櫃田伸也とその教え子たち-」では唯一写真作品を発表し、好評を博しました。大学では油画科に在籍した城戸ですが、制作の興味はすぐに写真に向けられました。しかし、当時大学には写真専門の教官がいなかったため、独学で写真を学び、指導教官であった櫃田氏が常に平面の視点から彼の作品を批評したことから、彼の作品は写真というよりも平面作品としての強さをもったものとなりました。

時に、シンメトリーで意図的に作られた場面を切り取ったような印象を持ちますが、全ては自然界のあるがままの一瞬を捉えた作品で、でデジタルカメラではなくフィルムで丁寧に作られています。城戸の作品は、「写真」というフィルターを通してその操作によって何かを訴えるのではなく、構図や光の陰影など、とても絵画的な意図を感じさせます。それがモノクロームで光の痕跡を印画紙に焼き付ける「写真」という方法で、より確固たるイメージになっているのではないかと思います。

今回、ギャルリー東京ユマニテでは初個展、東京では2002年以来の個展となり、近作に新作を加えて約30点を展示いたします。近年、美術シーンの中でも重要な位置を占める写真ですが、独特のイメージを作り上げる城戸の作品展。この機会に是非ご高覧下さい。

<作家コメント>
私にとって写真は絵画です。そして、写真は魔術です。
7才の姪は、私が伊賀生まれであることから、私のことを忍者だと思っているそうです。それは、あながち間違っていないかもしれません。何故なら、私は何の前触れもなく突然出会うものを写真機で記録し、暗室でおまじないのような動作をしながら、光や薬品を駆使して魔術のような事を行うからです。
私は写真という術で、彼女を驚かせたいのです。

■城戸保 
1974 三重県に生まれる
1999 愛知県立芸術大学美術学部油画専攻卒業
2001 愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了
2002 愛知県立芸術大学大学院美術研修科修了

個展
2002
日興コーディアル証券ウィンドーギャラリー(愛知)
「現在性の美術 vol.9 城戸保」 ギャラリーMAKI(東京)
2003
ギャラリーNAF(愛知)
グループ展
2005
「不思議な回転扉のように―写真と絵画の交流」 文房堂ギャラリー(東京)
2006
「next station―次の美術駅へ」 名古屋市民ギャラリー矢田(愛知)
2007
「Young artist world patronage program」 モンブラン銀座本店(東京)
2009
「放課後のはらっぱ-櫃田伸也とその教え子たち-」 愛知県美術館(愛知)

お問い合わせは  ギャルリー東京ユマニテ humanite@js8.so-net.ne.jp
tel. 03-3562-1305 fax. 03-3562-1306


“Tree ♯02” 2010 
ゼラチンシルバープリント
Gelatin silver print 50.7x60.8㎝


“Rabbit” 2010 
ゼラチンシルバープリント
Gelatin silver print 40.5x50.5㎝


“Ducks #03” 2010
ゼラチンシルバープリント
Gelatin silver print 45.6x55.8cm


“View ♯10” 2008 
ゼラチンシルバープリント
Gelatin silver print 50.7x60.8㎝

EXHIBITION

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